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何度目かのチノちゃんとのデートは、あいにくの雨だった

灯台と砂浜を楽しむという企画も、雨天ではうれしくない。仕方なく俺たちは灯台の中にある、お洒落な、俺一人では天地がひっくり返っても入らないようなクレープ屋を屋根にした

そこのクレープにはフルーツが大量に乗っていて、いささか一人で喰うにはボリューミィすぎた。「これは…まるで山城ですね…」チノちゃんはどこか辟易と言った面持ちでそう表現した

それからひとりしきり他愛のない話をした後、「海に出てみませんか?」と彼女が言った。まだ雨だよ、俺が答えると、「いいんです、それでも」そう返す。俺は彼女を濡らしてしまわないか心配になりながらも、その提案に承諾した

そして俺たちは雨の海原を見た。曇り空の灰色が水を染め、荒々しく誘起する波間は、近づくもの全てを拒んでいた

不意に、チノちゃんに袖を引っ張られる。なんだい?俺が彼女の方を向くと、驚いたことに彼女は目を瞑って、俺に「そうするように」唇を尖らせていた。俺は、そうか、君は俺を笑わないのか、と思った。それから何度も俺たちは口づけをした。あまりに拙速に、まるで雨足を避けて駆け行く子供の歩調のように

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