「少ない人員労力で大きな貢献を」為すところの者寡くして而るに悦ぶ者衆かな

為すところの者寡くして而るに悦ぶ者衆かな
―所為者寡而悦者衆矣―

[原文](三国志 魏書 鄧艾伝)
所為者寡而恱者衆矣。

[書き下し文]
為すところの者寡(すくな)くして悦ぶ者衆かな。

[原文の語訳]
少ない行為で多くの人を喜ばせるのだ。

[解釈]
正しく共感させる行動であれば、少ない所作で周囲を感化させることができるということです。これは教化だけに限りません。
少ない行動は楽をするというよりも、効率よく稼働させるという意味で、それにより多くの人に満足してもらえることになります。
カイゼンや効率化は初めは労力も反対にもあい大変かもしれませんが、正しい道理であれば理解、納得してもらえるものです。
初めは大変ですが労力をかけずに貢献できる仕組みづくりをしたいものです。

「正しいのに仕打ちを受ける事もある」白起の酷、復た於いて今日見るかな

白起の酷、復た於いて今日見るかな
―白起之酷、復見於今日矣―

[原文](三国志 魏書 鄧艾伝)
白起之酷、復見於今日矣。

[書き下し文]
白起の酷、また今日見るかな。

[原文の語訳]
白起への酷い仕打ちが、今日繰り返されるとは。

[解釈]
先人の白起と同じように自分は正しい信念を貫きながら酷い仕打ちを受けることになることを嘆いたものです。
正しいはずが組織や上司の保身のために濡れ衣を着せられたりして強制排除されることは今でもあるものです。
大小にかかわらず正義のために尽力したのに仕打ちを受けることがあります。そこで腐らずいられるようにしましょう。

「とりあえず公言しておく」兵声を先にして而に実を後にする者あり

兵声を先にして而に実を後にする者あり
―兵有先声而後実者―

[原文](三国志 魏書 鄧艾伝)
兵有先聲而後實者。

[書き下し文]
兵声(へいせい)を先にして実を後にする者あり。

[原文の語訳]
宣戦布告を先にして、実動は後にすることがある。

[解釈]
先に戦いに向かうと宣伝をすることで、精神的な先制攻撃をし相手を牽制、動揺させるということです。
大手企業では観測気球をあげて反響をみるという手法があります。
開発競争において他に先駆けて新商品やサービスを出すのではないか、発表するのではないかというライバルを焦らせる効果もあります。
個人であればあえて公言することで、しなくてはいけなと自分で追い詰め、実現に向かう推進力とすることがあります。
相手は他社他人ではなく自分自身のこともあります。自分に勝つためにもあえて公言してみるのもよいかもしれません。

「保身にはしらず貢献を第一とする」忘我而不自必、乃所以為忠也

我を忘れ自らを必せず、すなわち以て忠となすところなり
―忘我而不自必、乃所以為忠也―

[原文](三国志 魏書 毌丘倹伝)
忘我而不自必、乃所以為忠也。

[書き下し文]
我を忘れ自らを必せず、すなわち以て忠となすところなり。

[原文の語訳]
我を忘れて自分自身に固執しない、それが忠義とするところである。

[解釈]
自身の保身にはしらず捧げる姿勢こそ、忠義だということです。
個人でも組織人であれば事業を通じるなどして社会に貢献することを目的としていれば、自然と忠義が軸となるものです。
顧客に対して商品やサービスを提供し満足してもらうことを第一とすることも忠義のひとつかもしれません。

「察する力を養う」君侯、何若。若しく復たべからず数日中は忍ぶ也

君侯、何若。若しく復たべからず数日中は忍ぶ也
―君侯何若若不可復忍数日中也―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
君侯何若若不可復忍數日中也。

[書き下し文]
君侯(との)、何若(いかに)。若しく復たべからず数日中は忍ぶなり。

[原文の語訳]
君侯(との)にはどうか事の次第で二度とないことですから数日中はたえられないでしょうか。

[解釈]
数日で状況が変わりそうなので、もうしばらく辛抱してほしいということを遠回しに伝えているものですが、相手には通じませんでした。
理由がわからなければ受け入れられるわけがありませんが、状況によっては遠回しな言い方しかできない場合があります。
特に情に任せた状態の相手になかなか伝えることは難しいものです。
相手が直接言葉にしていないながらも、何を伝えたいのか察することができるようになりたいものです。

「一線を越えない程度に準備する」持重は行かざる之謂うに非ず也、進んで而に犯すべからずのみ

持重は行かざる之謂うに非ず也、進んで而に犯すべからずのみ
―持重非不行之謂也、進而不可犯耳―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
持重非不行之謂也、進而不可犯耳。

[書き下し文]
持重(じちょう)は行かざる之謂うに非(あら)ず也、進んで犯すべからずのみ。

[原文の語訳]
大事をとって行動しないということではなく、進んでも犯すところまではしないということである。

[解釈]
様子見や抑止ということで、一線を越えない程度で行動するということです。
本格的にはいかずに、試験的に留めるといったことでもありそうです。
行動でも何もしないことではなく、少しは助走をつけておくことでスタートで躓くことのないようにしておくことが必要です。
組織においては部下に対し、全く手出ししないのではなく、フォローする準備をしておくということです
止まった状態から動き出すには必要以上に力が必要です。少しでも動いていればスムーズに初動にはいれるものです

「根拠がなければ説得力はない」火を積薪の下に置き而に其の上に寝す、因て之を安と謂う也

火を積薪の下に置き而に其の上に寝す、因て之を安と謂う也
―置火積薪之下而寝其上、因謂之安也―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
置火積薪之下而寢其上、因謂之安也。

[書き下し文]
火を積薪の下に置きその上に寝す、因てこれを安という也。

[原文の語訳]
火を積み上げた薪の下に置いておいてその上で寝ていながら、これで安全だといっているようなものである。

[解釈]
燃えやすい薪の下に火を置くことさえ危険なのに、さらにその上で寝ることまでも安全だと言っているのは安心しすぎだということです。
危険な状態だと指摘されていているのに、根拠もなくただ安全だといっているということです。
根拠がなければ説得力があるはずがありません。相手を納得させるだけの根拠や資料をきちんと提供できるようにしましょう。

「うまく流れに乗れるようにかじを切る」水は舟を載す所以であり、亦舟を覆す所以である

水は舟を載す所以であり、亦舟を覆す所以である
―水所以載舟、亦所以覆舟―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
水所以載舟、亦所以覆舟。

[書き下し文]
水は舟を載すゆえんであり、また舟を覆すゆえんである。

[原文の語訳]
水は舟を浮かべるもので、同時に転覆させるものである。

[解釈]
表裏一体ということです。
水を社会とすると、流れに乗れば順風満帆で向上し、流れから外れるつまり需要から外れると荒波や逆流となり転覆するなど下降してしまいます。
船頭がたくさんいるとうまく前に進めません。指示統制をしっかりしておくことが大事です。
また流れにも緩急あるように、需要にも流行や風があります。うまく流れに乗れるようにかじを切り、急な流れにも対応できるように丈夫な体制を整えておかないとキャパオーバーとなってしまいかねません。

「安易に批評しない」毀誉は、愛悪の原にして而るに禍福の機なり

毀誉は、愛悪の原にして而るに禍福の機なり
―毀誉、愛悪之原而禍福之機也―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
毀譽、愛惡之原而禍福之機也。

[書き下し文]
毀誉(きよ)は、愛悪(あいお)の原にして禍福の機なり。

[原文の語訳]
誹ったり誉めることは、愛憎の原因となり禍福のきっかけとなる。

[解釈]
批難したり誉めたりすることは、当人や周囲に愛憎の念を抱かせ、禍と幸せのきっかけとなるということです。
トップは影響力を考慮して、過分、過大に批評を行わないように注意しなくてはいけません。
不必要に誤解や憎悪を生まないためにも、安易に人や物事を批評しないように注意したいものです。

「慌てずじっくりと」朝華の草、夕にして而るに零落す

朝華の草、夕にして而るに零落す
―朝華之草、夕而零落―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
朝華之草、夕而零落。

[書き下し文]
朝華の草、夕にして零落(れいらく)す。

[原文の語訳]
朝花が咲く草は、夕方には萎む。

[解釈]
朝顔のように朝に花を咲かす草花は夕方には萎んでしまう。早く完成すると早く滅びるということです。
競馬の競走馬も早い時期から活躍する早熟型がいますが、長続きせず、成績を残せない場合が多いものです。
早く動き出すことと早く完成させることは違います。急ぐ突貫工事では完成度が低かったり、ミスも発生してしまいます。
神童と呼ばれた子どもが成長しても活躍できるのは、勉強や練習の継続を怠らないからです。
始めだけを重視していると尻すぼみになります。長く花を咲かせるように慌てずじっくりと育てていきたいものです。

「深追いすると失うものが出てくる」如足るを知わざれば、則ち欲する所に失する

如足るを知わざれば、則ち欲する所に失する
―如不知足、則失所欲―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
如不知足、則失所欲。

[書き下し文]
如(もし)足るを知わざれば、則ち欲するところに失する。

[原文の語訳]
もし満足することを知らなければ欲望により失わされる。

[解釈]
満足することを知らないと、物欲で散財してしまうということです。
限度をわきまえないデカ盛りを売りにして、結果的に赤字になったり、勢いに任せて大量生産をし不良在庫を大量に抱え込む自体が起きかねません。
M&Aや事業の拡大路線でも同様な危険性がありますし、個人でも依存症になると大事なものを失いかねません。
水産資源などでも無謀な乱獲により不漁になったり枯渇が懸念されています。
過ぎたるは及ばざるが如しで、深追いすると逆に失うものが出てくるということです。ゴールを設定することを忘れないようにしたいものです。

「押し付けない」その節を以て物を検せず

その節を以て物を検せず
―不以其節検物―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
不以其節檢物。

[書き下し文]
其の節(せつ)を以て物を検せず。

[原文の語訳]
自分の節操を基準に物事を取り締まることをしなかった。

[解釈]
自分の杓子定規に当てはめたり、思い通りにしようとしなかったということです。
道徳秩序に反していないのに、自身が気に食わないからと是正を求められると困りますね。
組織で何事も自分の考え方を基準として判断するのはトップダウンによくあるケースですね。
飲食店などで店主が半ば押し付けに食べ方を提案する場合があります。たしかにより美味しく食べてもらおうという良心からですが、食べる側が苦手なケースもあるのです。

「言われて変えないことも必要」前日これ通、乃ち今日これ介なり

前日これ通、乃ち今日これ介なり
―前日之通、乃今日之介也―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
前日之通、乃今日之介也。

[書き下し文]
前日これ通(つう)、乃ち今日これ介なり。

[原文の語訳]
以前はこだわりがないとされ、今は意固地と言われる。

[解釈]
周囲に左右されずに自分らしさを貫くことに対しては、周囲からの印象は良くなかったという回顧です。
自身の意志を貫くことに対して頑固だとか気にしない性格だとか言われる場合があります。
流行にとらわれない服装は、時に気にしていないだとか時代遅れだとか言われることがありますが、巡るもので時間が経てば見直され再び合致する時もあります。
指摘されて変えるべきもの、変えてはいけないものがあります。傾聴しつつも正しい分別を心がけたいものです。

「出すことにも余裕をもって」博にして而に約を守り、猛にして而に能く寬なり

博にして而に約を守り、猛にして而に能く寬なり
―博而守約、猛而能寬―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
博而守約、猛而能寬。

[書き下し文]
博にして而に約を守り、猛にして而に能(よ)く寬なり。

[原文の語訳]
広く諸事に通じながら簡約することを守り、勇猛でありながら手落ちなく寛容である。

[解釈]
多くのことを知りながら簡潔にとどめることにつとめ、荒々しさの中にも寛大さを忘れないということです。
できる人はあれもこれもと知識をひけらかすようなことをせず、突き進む性格でもフォローを忘れないものです。
意欲は十分に保ちながらも、一度に全部を詰め込めないように何事にも余裕をもちたいものです。

「自分の正当性を押し付けない」高くして而に狷ならず、絜にして而に介ならず

高くして而に狷ならず、絜にして而に介ならず
―高而不狷、絜而不介―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
高而不狷、絜而不介。

[書き下し文]
高くして而に狷(けん)ならず、絜(けつ)にして而に介ならず。

[原文の語訳]
気高いが片意地をはるわけではなく、潔白であるが節操が固いわけではない。

[解釈]
気高くすぐれているがそのような素振りはみせず、潔白だが型にはめたような頑固者ではない。
優秀であっても自分の意見を押し付けて譲らない人には周囲も困ってしまいます。
できる人は常に周りから学ぶことを忘れず、異なる意見でもあっても自分の意見と照らし合わせ、そこから新たなアイデアを見出すものです。

「目標があると簡潔になる」志高く行いは絜く、才博にして気猛し

志高く行いは絜く、才博にして気猛し
―志高行絜、才博気猛―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
志高行絜、才博氣猛。

[書き下し文]
志高く行いは絜(いさぎよ)く、才博にして気猛し。

[原文の語訳]
志を高くもち行いは清潔、才能豊かで気力は勇猛。

[解釈]
高い志のもとで言動は道徳に沿って清く、才能豊かで博学、気力も充分ということです。
志が高いと結果オーライではなく過程も大切にするものです。そのために勉学に励んで、その知識を大いに活用しようとします。
高い目標を掲げると、無駄を省くため自ずと言動に取捨選択をするようになり、結果として簡潔、清潔となるのです。
また達成に必要な事柄が明確となり、集中して取り組むことができるようにもなります。
しっかりとした目標を掲げ、回り道はしても無駄足は踏まず、一歩一歩着実に進んでいくようにしたいものです。

「見た目と実際は正反対」此れ形実は必ず相応せずと為すなり

此れ形実は必ず相応せずと為すなり
―此為形実不必相応也―

[原文](三国志 魏書 満寵伝)
此為形實不必相應也。

[書き下し文]
これ形実は必ず相応(そうおう)せずと為すなり。

[原文の語訳]
これは外見と内実は必ずしもつり合っているわけではない。

[解釈]
虚勢を張ってみせたり、実際より弱気にみせるなど、実際の状況と反対のみせかけをするということです。
相手を欺くことで誘い出したり難を逃れたりする作戦があります。チームスポーツでも調子が悪いと言われていた選手が実は万全の状態で出場メンバーに名を連ねていると驚くものです。
飲食店で外観と料理が不釣合いという状態は、できればない方がお客さんは助かりますね。

「いつまでも現場に立つ」昔廉頗は強食し、馬援は鞍に拠る

昔廉頗は強食し、馬援は鞍に拠る
―昔廉頗強食、馬援拠鞍―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
昔廉頗彊食、馬援據鞌。

[書き下し文]
昔廉頗は強食し、馬援は鞍に拠(よ)る。

[原文の語訳]
昔、廉頗は強がって食事をし、馬援は馬の鞍にまたがった。

[解釈]
自らの年齢を感じさせない強壮さを示すために、無理をして食事をとったり、馬に跨ったということです。
生涯現役を貫く人は、年齢を重ねてもいつまでも現場に立つものです。ただ、あまり無理をするのも現代では考えものですね。
健康自慢を目的として体を鍛えるにしても、無理をして逆に体調を崩しては本末転倒です。気をつけたいものです。

「適材適所で固める」根を深くし本を固める

根を深くし本を固める
―深根固本―

[原文](三国志 魏書 高堂隆伝)
深根固本。

[書き下し文]
根を深くし本(もと)を固める。

[原文の語訳]
根を深く張って根本を固める。

[解釈]
幹の補助ができれば倒れたり根が抜けたりしないということで、側に適切な人材を配置してがっちり固めるということです。
組織全体で役割分担がきちっとすることで、業務も円滑に進みそれぞれが迷うことなく従事することができます。
必要とする人材に対しては適切な待遇をすることを忘れないようにすることが必要です。

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