「重い」でレミフラ
フランの体はとてもやわかい。特に膝。なので、フランが座ってるのを見たら上に座りたくなるのは自明のことである。
だけど私が上に乗っかると妹は必ず重いとか羽が邪魔とか気持ち悪いとか気色悪いとか言うので、だったら猫になれば全て解決するのでは? と思い立ち、パチェに変化魔法を掛けてもらった。
果たして、私は透んだ水色の毛が瑞々しい、上等な猫となった。
「うわ、本当になったんだ」
前から話していた計画を実行した私を見て妹は言った。
ここまでするのなら、と意外にも妹は易易と膝に乗せてくれた。
膝の上で丸くなる私の毛並みを撫ぜ、妹は呟く。
「お姉さまが私に贈ってくれたペット、全部ろくな死に方しなかったじゃん。それを一番知ってるのはお姉さまのはずなのに、よくこんなこと出来るね」
そんな遠い昔の話、全部忘れた。
今は違う。今のフランは、見るもの全てに憎悪を向けていた頃とは違うから。
それに、今ここで私の生死が妹の掌に収まっていると思うと。
薄暗い喜びが、皮膚を這う心地がして、震えそうになる。
何かを察したように私から顔を背け、妹はうんざりした声色で言った。
「やっぱり、重い」
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