レッカーに引かれる車の後輪の回転を見る出勤の道

「おさまってない」

ポケットにもぐって暖をとっていた両手おのずと出てくる春は

メニューとはちがう気がする春野菜パスタ見比べあきらめがつく

見本より色あせているパスタだが味はおおむね差し支えない

この人にも家族があるんだろうなあと想像させる顔の店員

無着色ながら真っ赤なケチャップをつけてポテトを無意識に食う

耐えているみたいな顔の男から目をそらす、また見る、耐えている

支払いを終えたら外の強風がおさまって、いや、おさまってない

均等な間隔をおいて植えられた黄色や赤に将来はある

若者の味方だという顔がもうしんどくなって背中が痛い

見通しのよい地点から沈む陽を見ていたずっとこうしたかった

支払いを終えたら外の強風がおさまって、いや、おさまってない

耐えているみたいな顔の男から目をそらす、また見る、耐えている

第8回 中城ふみ子賞次席作品「校舎・飛び降り」50首 t.co/cuoDstwFG3
横書きのものをnoteの無料記事で出しておきます。

見本とはちがう気がする春野菜パスタ見比べあきらめがつく

いいですよ隣の車輌にもうひとりオレがいたってかまいませんよ #

仰向けにさせてみたってリラックスできないようだ我が家の猫は

ありえない、ありうるなどと言い合っていると一面ゆうがたになる

赤信号わりと悠々渡ってる男見下ろすバスの座席に

貼り紙に近づいてみるとまったくの白紙 窓から誰か見ている

短歌研究2014年11月号【新進気鋭の歌人たち】に出した連作「魂の転落」10首です。

オレに対し決定的な一言を持っていそうな沈黙の人

「高速バスで東京へ」

東京に向かって走るバスに乗る表彰されるために乗るバス

赤だけどわりと悠々渡ってるおとこ見下ろすバスの座席に

雨に濡れ乾いたままの窓ガラスを通して見える木々のざわめき

冬色の山をながめるこのバスの急カーブで落ちてくるリュックは

コンセントやトイレのついたバスもある話を聞いてからの無いバス

比較的若い男の多く乗る高速バスでふゆやまに雲

目の覚めるほどに真っ赤なトラックとあくびしている間にすれちがう

退屈になったらつけるイヤホンを意識しつつもまだ山の雪

こいのぼりのニセモノだらり泳いでる高速道路を乗せられてゆく

仙台だ そう思おうとしてみるとややむずかしい東京の街

文化的で人間らしい生活と耳に聞いても聞こえないふり

見れなくて涙流したこともある「となりのトトロ」のテレビ放送

九時を知らすチャイムが鳴って気がついて見上げた時計今まさに九時

ロッテリアのバケツポテトをつまみ食うバケツから食う人間オレは

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